株式 自動運転の心臓部はGPUなのか? 他のCPUなのか?
私の専門は自動車セクターです。
消費電力とコストの問題となると考えます。
ADAS(先進運転支援システム)や自動運転技術の解決すべき問題
ソフトバンクが出資しているArmという会社があります。CPUのメーカー
ですが、我々に馴染みがあるのは、NvidiaのGPUの方が耳慣れしていると
思います。因みにソフトバンクは自動運転システムのプラットフォーマーにも
出資しています。
自動運転の試験車両はサーバー用のプロセッサーやGPUを搭載しており、
システムの消費電力は、2000~3000W、場合によっては5000~6000Wです。
量産車に使うには、システム消費電力を1/10~1/100、コストも1/10以下に
抑える必要があります。出なければ、現在のEV/PHEVのバッテリー出力から
何から全て変更する必要あります。システムに余裕を持たせる必要もあり、
CPUメーカーはこの点に付、GPUにはない勝機があると見ています。
自動運転システムでは機能安全規格「ISO26262」の認証取得が必要ですが、システム
開発では、ハードもソフトも機能安全の認証取得プロセスが複雑化・負担になります。
ADASや自動運転など、高い安全性が求められるシステムでは、通常2つのCPUを
同時に動かす、いわば動作実行を命令する前に、演算(シュミレーション)段階で、
2系統の動作シュミレーション結果を比較することでエラーを検出する
「デュアルコア・ロックステップ」と呼ぶ方式が使われる。
動作の比較を外付けのマイコンで行うため、応答時間(レイテンシー)が掛かり、
エラーの発見が遅れやすくなります。部品コストも高くなるので、GPUが有利と
されています。
Arm社の場合、CPUの欠点であるエラー検出をSoC内部の比較器で行うため、
レイテンシーが短い。部品点数も減る。2つのCPUの使い方を別々にするという
演算構造の設計思想の変更をした為、リソースを有効活用できるという売り込みです。
アームの発表によれば、自動運転車に必要な性能や機能を盛り込んだ16コア構成の
SoCで、消費電力30W(CPUコア部分の消費電力は15W)で250KDMIPS
(毎秒2500億命令)の性能を実現できるとしています。